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輸入植検規定の改正に賛成意見 農水省の木材梱包材規制巡る公聴会(06-09-14) |
農林水産省による輸入植物検疫規程の一部改正(木材梱包材の輸入植物検疫上の取り扱いの見直し)を巡る公聴会が13日、東京で開催、日本荷主協会の河村輝夫常務理事、愛媛大学の大村延夫教授が公述人として出席し、今回の改正に賛成を表明した。農水省は公聴会での意見とともに15日締め切りで実施しているパブリックコメントの結果を整理、農林水産大臣に報告したうえで、10月にも公布、来年4月には施行する見通し。
農水省は日本に持ち込まれる木材梱包材について、国際植物防疫条約の規定に基づき策定された植物検疫措置に関する国際基準第15(ISPM No.15)に沿った消毒措置の実施と適正な表示(マーク)を求め、消毒・表示が適正に実施された以外のものを植物検疫の対象とすることとし、8月15日付で輸入植物検疫規程第6条の一部を改正、検疫の対象とならない植物に、所定の条件を満たした木材梱包材を加える規定を設ける案を官報に告示すると同時にパブコメを募集、併せて13日に公聴会を開催したもの。
公聴会は農水省消費・安全局の別所智博植物防疫課長が議長となり、農水省の事務局から輸入植物検疫規程の一部改正についての総括的な説明や、輸入貨物の木材梱包材に関する病害虫危険度解析について説明したあと、公述人が意見を述べる形で約1時間にわたり行われた。
公述人の大林氏は、木材に付いて侵入してくる害虫はやっかいで、森林や農産物の被害を食い止めるには侵入前に防除する必要があるとし、今回の措置に賛成を表明した。
また、河村氏は世界の貿易業界はコンプライアンス(法令順守)の意識が強く、日本の森林保護や消毒処理し、マーキングしたパレットを反復使用することが容易になれば費用軽減の観点からも、今回の規則改正を歓迎するとしたうえで、手続きと運用について、新たな検疫制度導入にあたっては一定の猶予期間を設ける、輸入通関業務の迅速性とコスト競争力への配慮などが必要との意見を述べた。 |
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席上、「現行規則において、木製梱包材は検疫対象であるのかどうか?」を質問しました。
農水省の回答は、当然のことながら、「対象ではない。」とのことです。
現在の農林水産省による輸入植物検疫規定改正案では、次のようになっています:−
輸入植物検疫規程第六条(検疫の対象とならない植物)に、新たに以下の内容の号を追加する。
「木材こん包材(植物検疫措置に関する国際基準第十五において規制の対象とされるものにあっては、附属書Tによる処理が行われ、かつ、附属書Uによる表示が付されているものに限る」 |
このことにより、次のようにしています。
しかし、現行検疫規則上、輸入インボイスに記載のない容器包装が検疫対象になるのは苗木や植物類の輸出入の場合のみです。除外規定的な上記の号を挿入することにより、いきなり家電製品や食品類の容器包装である木製梱包材が、検疫対象になることには、合点が行かないのであります。
本来は、植物検疫法そのものにISPMNo.15 を導入し、輸入規制と輸出認証制度を定めるべきであったと思います。そうしないと、梱包材を規制する法的根拠がないままに輸入検疫をすることになりかねません。
この点、農水省側は今後、検討することと思いますが、今の改正案のままであれば、検疫検査により違反と言われても、その法的根拠を問えば検疫官は答えられないことになりましょう。 |